焙煎の歴史



焙煎の始まりと器具の変化

コーヒーは初め食用としてその果実が用いられ、
実をつぶして油で練って団子状にして食べたり、スープとして飲まれていました。
現在でもエチオピア奥地の少数民族は食用としてコーヒーを利用している例があるといいます。

しかし、コーヒーを食用とするのは一般に普及するほどではなく、
食用と同時にコーヒーの果実を発酵させて酒として利用することもまたあまり広がりませんでした。

一番利用されたのは薬としてのコーヒーの効用で、
アラビアの医師ラーゼスやイスラム教徒の医師アヴィセンナなどによる最初のコーヒー飲用記録にも、
コーヒーには薬理作用があり、そのために飲んだことが記されています。

薬としての効能はヨーロッパにコーヒーが伝えられた時にも取りあげられ、
宣伝効果としてもコーヒーが普及していくことになりました。

ただ、なんと言ってもコーヒーが飲まれた主目的はコーヒーを飲むという嗜好品としての飲用でした。
それは特に1300年代のコーヒーの焙煎がなされるようになってからのことでした。

薬として生豆から煮出されるコーヒーは生豆を焙煎することにより、
その味と香りはそれまでのコーヒーとはまったく違うものとなり人々が競って飲むものとなったのです。

初期の焙煎方法は、素焼きの土器を直接火にかざし、その中に生豆を入れて煎っていました。
1400年以降、金属の鍋とかき混ぜ棒や、煎り鍋なども作られます。
1600年頃には、フライパンの形をして脚が付き、そのまま火の上に据えられる焙煎道具が考案されています。

1670年に、オランダ人が鉄板でできた小型で筒状の密封された焙煎道具を作りました。
この焙煎機は19世紀の半ばまでオランダ、フランス、イギリス、アメリカでも普及しました。

1860年頃から現代につながる焙煎機が作られていき、
アメリカやドイツの焙煎機は、ここからの改良焙煎機といいます。
そしてそのあと、焙煎機は構造的には改良を加えられましたが、原理的な部分はここで確立されました。

焙煎機の熱源はとしてはガス、電気、炭火などがあり
焙煎機には直火式、半熱風式、熱風式の3つのタイプがあります。

直火式と半熱風式の焙煎機はガスバーナーがドラム(釜)のすぐ下の位置にあるのに対し、
完全熱風式のものは、ガスバーナーがドラムの横の位置にあります。

直火式のものはドラムに多数の孔あり、ガスの炎はドラムに
直接当たって孔から内部にも入り、焙煎中の生豆にも届くので「直火」と呼ばれます。

半熱風式のものは、直火のものと違い、ドラムに孔はなく、ガスの炎はドラムに直接当たりますが、
孔がないため内部の生豆には届かず、ドラムの奥にある穴から熱風が入って生豆に届きます。

ドラムに炎が直接当たることと、熱風が奥から入ることが、それぞれ半分ということから「半熱風」と呼ばれています。
熱風式のものはガスの炎は直接当たらず、熱風だけが届くのでそう呼ばれています。

3〜15kgまでの焙煎機は、直火か半熱風で、
それ以上、大量に焙煎するものは、直火では量が焼けず無理なので熱風式となります。

焙煎機は直火式がいいと言われますが、それはどのような味を作り出すのかにもよります。
味の傾向としては直火式のほうが味が強くなりやすく、熱風式は味が弱くなりやすい傾向があります。
味の面から見ると直火式のほうがいいのですが、ただ直火式ではコーヒー豆に当たる温度が熱風式とは違い高く、
均一に火を通すことが難しく、焼きムラが出やすいことからある程度の技術が必要となります。

焙煎が終わったあとの焙煎豆の見た目では熱風式のほうが膨らみがいいものが多く、
コーヒー豆を販売するときには熱風式焙煎のほうが売りやすいともいいます。
その理由には焙煎の難易度もあり、直火式と比べると熱風式のほうが焙煎も簡単にできるためです。

家庭用の焙煎機には熱源が電気で、遠赤外線や熱風式のものがありますが、
あくまでも家庭レベルの味になりやすく、いい焙煎ができるものは少ないです。
さらに10分以下で焙煎を行ってしまうような全自動などの焙煎機では、いいものを見たことがありません。



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