コーヒー抽出・淹れ方の歴史




コーヒープレス、フレンチプレスと呼ばれる抽出器具(浸漬法)
メーカーによっては、構造は同じでもメリオール、ハリオールと呼ばれる。


1 コーヒーの抽出法(浸漬法、透過法、煮沸法)

コーヒーの抽出法は、基本的には浸漬法といわれるコーヒーの粉を水または湯の中に入れて浸出させる方法か、透過法といわれるコーヒーの粉の上から熱湯あるいは水を注ぎ、透過させる方法の2つに大別されます。

もっとも1700年代までは、浸漬法のトルココーヒー(煮沸法でもある)の抽出法だけでしたから、その後の1850年代に至る150年の間に、ヨーロッパ各国において様々な抽出法と器具が発明さたのです。それを大別すると下記のようになります。

浸漬法:
透過法:
トルココーヒー、ボイリング法、パーコレーターコーヒービギンサイフォンコーヒープレス
ダッチコーヒーコーヒーアーンネルドリップ、ペーパードリップ、コーヒーメーカー

1710年 
1763年 
1800年 
1817年 
1840年 
ボイリング
ドリップ
パーコレーター(ラムフォード→ローラン)
コーヒービギン
サイフォン




2 トルココーヒーの改良

 
イブリック、ジェズベと呼ばれるトルココーヒーで使われる器具

トルココーヒーの飲み方だと、どうしてもコーヒーの粉の滓も一緒に飲んでしまうことになるため、ヨーロッパにおいて、この粉の滓を取り除きたいということから、抽出法や器具の講演がなされ始めます。
1710年には、フランスで煮沸しないで熱湯に浸漬して出す方法が考えられ、これが後のボイリング方として確立します。
1711年にはやはりフランスでビロードの袋の中にコーヒーの粉を入れ、それをあらかじめ鍋の中に入れておき、その上から熱湯を注いで抽出する方法が考案されました。袋を取り去れば抽出されたコーヒー液と粉の滓が一緒にならない、濾されたコーヒーが残る方法です。
この方法は1817年頃、イギリスでビギンという人が改良し、コーヒービギンと名付けられ、さらにアメリカにわたり改良されたものとなります。
コーヒービギンが出てくるまで、イギリスでまだ次のような状況でした。
即ち、1722年にはロンドンのコーヒーマンである、ブロードベント・ハンフレーが「真正コーヒーの作り方」を提唱します。それは、「1オンス(28.35g)の粉に1クォート(約1.14L)の水を沸騰させてものを用い、せとものか銀製のポットに粉を平らに入れ、熱湯を粉の上に注ぎ、5分間浸漬させるものでした。これは普通に行っているコーヒーを煮沸させているものよりもはるかに優れた方法である」と主張するもので、さらに「この方法でもしばしば濁りが出て不快な味になるから、それにスプーン1〜2杯の冷水を入れれば重苦しいものはポットのそこに沈むから、注意して上澄みをとれ」と、トルココーヒーの抽出法にやや修正を加えた程度の改良でした。




3 浸漬法の応用器具

浸漬法と透過法の器具の発明と応用は、年代が入り混じっているのですが、それぞれに分けて説明します。



(1)ボイリング

1710年前後に、フランスで熱湯に浸漬する方法が考えられてのが始まりです。
使用するコーヒーの粉は粗挽き、厚手の手鍋(出来上がりコーヒー分量の3倍容積のもの)を用意します。まずは人数分の熱湯正しく計り鍋に入れます。それを火にかけて煮沸させます。その中に定量のコーヒー粉を入れて、スプーンで軽くかくはんし、火からおろして少し間をおき、それをドリップと同じ要領でろ紙にでこしていれます。今でもこの中言う出法でないとコーヒーを飲んだ気がしないというファンもいます。



(2)パーコレータ

  


1800年頃、パリで、ド・ベロワがたくさんの小孔があいた鉄製、のちには格子状の陶器にコーヒーの粉を入れて熱湯を注ぐと、湯がコーヒーの粉の中を滴り落ちるというフランス式ドリップポットを作りました。1806年には、イギリスのラムフォードがこれヒントを得て、パーコレータの原型を作り、1819年、ローランが完成させました。それは熱湯が管を通って上昇し、コーヒーの粉の上に降りかかるものでした。
使用するコーヒーの粉は粗挽き。ポットに適量の熱湯を計っていれます。バスケットにコーヒー粗挽きを必要量(ポットの熱湯に合わせて)いれてフタをします。そのまま湯を煮沸させポットのトップガラスにコーヒー色をした熱湯がかかりはじめてから、数分間沸かせば出来上がりです。何度も浸液が煮られるので味よりも自動的に抽出して飲むのに便利な器具で1839年頃までにフランス、イギリス、ドイツで特許が与えられ広く一般に使用されました。
1932年のアメリカの調査でもパーコレーター62%、ボイル22%、ドリップ12%となっています。



(3)サイフォン

 


1840年、スコットランドの造船技師、ロバートナピアーによって現在のサイフォンの原型であるバキューム式の浸漬器具が作られました。
沸騰した熱湯が細い管を通ってレシーバーに注入されコーヒーの粉と接触します。加熱を中止すると、抽出液は細い管を通ってグローブに戻ります。
これは気圧を利用したものですが、その後フランスにおいて改良され、現在のサイフォンのように、ダブルのグラスバルーンを上下に連結し、間に金属のフィルターを置いてあるものが作られます。1842年にバッシウ夫人が考案したものです。




4 透過法の応用器具


(1)ドリップ・ポット

   
ドリップポットを選ぶときには、持ち手と鶴口の形状に気をつけたい。


1763年、フランスのドンマルタンがコーヒーの粉を出さないために中に布切れを張り抽出口を持った透過法と浸漬法を合わせたコーヒーポットを作ったのが始まりで、これがドリップコーヒーの基礎になりました。
1800年初頭には、パリでド・ベロワのドリップポットが完成されます。これは上下の2層にわかれ上層に粉を入れて熱湯を満たす、その底の小孔を通して浸漬液が下層にろ過されて落ちる透過法のもので、ここでドリップ法が確立されます。
ドリップ法に使われる濾すための材料は、布か紙、あるいは、小孔のあいた陶磁器か金属です。



(2)コーヒーアーン

 
コロンビア人の友人は、効率的で見た目もいいコーヒーアーンが気に入っているとのこと。


アメリカでもっとも使われてもので、居酒屋やレストラン、ホテル等で一度に大量のコーヒーを作るための器具です。1697〜1831年まで営業していた居酒屋「グリーン・ドラゴン」で使われていた什器備品の目録がありますが、その中にコーヒーアーンもあります。
この装置は、ドリップ法の一杯出しを、大人数出すために大きくしたものと考えればよくろ過紙を用いるものと、布袋を用いるものとがあります。そして下にろ過されてから落ちたコーヒーをためておく槽があり、その槽を温めておくための湯が入った槽でおおわれているのでいつでもあたたかいコーヒーが飲めるようになっています。
ただ、コーヒーを落としてから時間がたつと、コーヒーは酸化し、いやなエグミなどがでてまずくなってしまう欠点がありました。日本に入ってきたときにはホテルなどで使われたと思われます。



(3)ダッチコーヒー(水出しコーヒー・ウォータードリップ)

  


上部に特殊なコーヒーろ過器を持ち、下部に貯蔵タンクを持ったコーヒーポットを用い、冷水によって浸出された良質の浸出液をえることができるものです。ただ、浸出するのに長時間要します。元のオランダ領辺りでその器具が作られ、使われたものと思われ、愛好者も多い。



(4)エスプレッソ

   
左2つ:この器具をエスプレッソではないという専門かもいる。
一番右:エスプレッソとは、ネスカフェが出しているエスプレッソのこと。


1817年、フランス人のローランの蒸圧式コーヒー淹れ器が特許されました。沸騰した湯は上昇して粉に注がれ、自動的に浸出ろ過されます。イタリア風のラビット・コーヒー・エスプレッソは1903年頃この考案をもととして造られたものです。豆の煎り方は普通のものではすぐに分解悪化するため、深煎りのものを用います。



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